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2021.10.16

小さな地球から創造する新しい未来。循環のある暮らしと「茅葺き屋根の再生」

2021年10月空が清く澄みわたった秋の風景が広がる安房、鴨川市釜沼地区。

そこには、古くから受け継がれてきた茅葺き屋根の古民家とそれを取り囲むたくさんの人々の姿がありました。

集う人々は、大人から乳幼児までの多世代。中には赤ちゃんをおんぶしたお母さんまで。全国各地からこの地に集まっています。

共に茅を葺き替え、寝食を共にしている姿。これは、本当にこの令和の時代に起こっていることなのでしょうか?なんだか、奇跡のような光景ですね。

小さな暮らしから集落の棚田の維持へ

この場を主宰しているのは、一般社団法人「小さな地球」の皆さん。

同団体の代表理事・林良樹さんは、22年前にこの釜沼に移住し、ご家族との暮らしが始まりました。

当初は、小さな田んぼをやるところから始まったのですが、現在は一町分(一反の10倍)の棚田の維持に携わっているそうです。

移住当時のことを、林さんはこう振り返りました。

「最初は自分の暮らしを自分で作りたくて、猫の額のようなサイズの田んぼをやっていました。

しかし、高齢化でどんどん棚田の維持できなくなって、集落だけで維持するのではなく、都会の力を借りようと思った。そこで村の長老たちと棚田オーナー制度(ひと区画の棚田を借り受け、オーナー自らが田植え、草刈り、脱穀など7回程度の作業を実施し、収穫したお米はオーナーに配分される制度)を始めました。

それでも維持出来ない田んぼが増えていくのを目の当たりにして、更なる活動の幅を広げようと決意。今度は、無印良品鴨川里山トラスト、自然酒の会を作りました。

これらの活動は、もともとここ(釜沼)を守るため、自分を守るためにやっていたんですが、次第に都会の人を巻き込むようになってきました。都会に住む人が「ここに来ることで救われることがあります。」と言っていて、都会と田舎を繋ぐことは、双方の課題解決をしていることになるんだ、と気づきました。

元はこんなに田んぼをやるつもりは、なかったんです。気づいたらこんなにやってました(笑)」

人と人、人と自然、都市と田舎を繋げ、「血縁地縁を超えたみんなのふるさと」作りを始めた林さん。

更に棚田の保全だけではなく、安房エリアの地域通貨「あわマネー」の発足や木炭生産組合の立ち上げなど、多岐にわたる活動をされています。

小さな地球から始まるコモンズ、現代の結へ

2021年の初夏には、同じ釜沼集落に移住した福岡達也さん、建築家で東京工業大学教授の塚本由晴さんと共に「小さな地球」という一般社団法人を立ち上げ、新たなプロジェクトも始動しているそうです。

左から、塚本由晴さん、林良樹さん、福岡達也さん

実はここ数年の中に集落内で、3軒もの空き家が出てしまいました。そのタイミングで、2軒は今まで棚田に通っていた方が移住を決め、もう1軒の古民家「したさん」は裏山ごと共同購入し、共同財産/コモンズとすることになりました。

古民家「したさん」では、カフェ、ショップ、宿泊所、研修施設、シェフインレジデンス、ギャラリー等、多様な活用ができる里山文化複合施設となっています。

この「小さな地球」プロジェクトでは、現代で失われた文化や知恵、「結」で作られたコミュニティを再創造し、「現代の結」として資源の循環、美しい日本の原風景を取り戻し、更に新しい未来に向かおうとしています。

筆者自身も、ここ釜沼で季節折々に開催されるイベントに参加、お手伝いをさせていただく中で、たくさんの人と里山が作る奇跡のような美しい光景を目の当たりにしてきました。

こうして暮らしと社会に地球の循環を表現する小さな地球プロジェクトが始まったのですが、このきっかけは、実は茅葺き屋根の再生だったそうなのです。

茅葺き屋根の再生と次世代への継承〜クラウドファンディングの挑戦〜

釜沼集落にある古民家「ゆうぎづか」の茅葺き屋根を葺き替えるために、1つのクラウドファンディングが始まりました。

台風に被災した茅葺きの古民家を「現代の結」で再生し、茅文化を次世代へ継承しよう!

ある、大きな出来事がきっかけに、古民家の茅を葺き替えることに決めた林さん。

そこからの壮大なストーリーは、まさに圧巻です。

(詳しくは、次回の記事でお伝えするのでぜひお楽しみに。)

今回のクラウドファンディングでは、茅葺き屋根の再生だけではなく、茅葺き文化を次世代に継承していくために、毎年人材育成の研修の実施が計画されています。

また、クラウドファンディングと同時進行で、実際に茅の葺き替えを行う茅葺き合宿が行われています。

その様子が、冒頭でご覧いただいた光景です。

全国から多くの人が集まり、和気あいあいに作業をしながら寝食を共に過ごしている姿は、まさに「現代の結」から紡がれたコミュニティの姿ではないでしょうか。

次回の記事では、そもそもなぜ茅の葺き替えをすることになったのか、このプロジェクトに関わる人々にフォーカスをおいてお届けしたいと思います!

台風に被災した茅葺きの古民家を「現代の結」で再生し、茅文化を次世代へ継承しよう!

小さな地球HP : https://small-earth.org/

小さな地球YouTubeチャンネル https://www.youtube.com/channel/UCjpGKLFXj3NvlYGDf7CEOSA

この記事のライター

きこりん
きこりん

千葉県富津市在住の東京育ち。保育士。房総の人々や自然との出会いから、ここで暮らしたいと直感で思い、2020年10月に富津に移住を決める。
現在は、幼児英語教育の仕事に携わりながら、里山での保育活動をする。房総のカフェや道の駅を巡ることが好きで、時間を見つけては、リサーチをしている。